†NOVEL†

 今日もバスに乗って仕事に向かう、お弁当もちゃんと入れたし家の留守は拾い猫であるししゃもに任せてきた。平日の今日は会社があるためししゃもと一緒にいることはできないが、それでも夜は一緒だし休日も一緒だった。ししゃも寂しくないと言う風に楽しそうに戯れてくる。



 ししゃもとの出会いは会社帰りのバスに乗ろうとバス停で待機していた時の事だった。雨降る中、疲れた身体を休ませながら小さく息を吐いていると、ふと目の前のゴミ箱の蓋が動いた。
 気になってゴミ箱の蓋を開けてみると猫が寂しそうに中に入っていて、こっちに気が付くと気付いてくれたのが嬉しかったのか愛らしい声で「にゃー」と鳴いた。
 ゆっくりと手を伸ばすが、猫は嫌がる素振りを見せず目を瞑った。そのままその猫をゆっくりと抱き上げた時、バスが到着した。
 そのまま猫を連れてバスに乗り込んだ時には雨は止み、空には星々が出会いを祝福するかのように輝いていた。

 それがししゃもとの出会い。



「サトウくん、前の会議の件なんだが…」

 会社内を資料や様々なものを持って自分のデスクに戻ろうと歩いていると、上司に話し掛けられる。
 歩を休め、振り返って話を聞く。また新たに仕事を頼まれ自分のデスクに戻りふと、時計を見ると時間は正午に差し掛かろうとしていた。

 しばらくしてサトウさんは昼休みへと入る。今日は快晴、持ってきたお弁当を外で食べたら気持ちいいかもしれない。
 そう思ったのか、外へと歩いていき公園のベンチに腰を降ろし今か今かと楽しみにしていたお弁当を見つめる。そのまま笑顔でお弁当箱を開けて―――





「あれ?」

 ご飯やおかずが入っている筈のお弁当箱の中には、なにか肌色の丸いモノが…

「ししゃもぉ…」

 見た瞬間にサトウさんは確信し、同時に落胆する。もちろん肌色の丸いモノはししゃもである。家にいるはずの。
 いつの間に忍び込んだのか、ししゃもはサトウさんのお弁当を食べ尽くして眠っていた。しばらくの間、サトウさんはお預けを食らい、仕方なくししゃもを連れてお弁当を買いに行った。

 それでもサトウさんに笑顔が絶える事はない。どんなに大変な事があっても、突然のピンチに苛まれても負けない。笑顔を絶さない。それは今が楽しいから。



 今日もサトウさんは笑顔で午後の仕事を続けた。


*コメント*


短いですね、う〜ん…。まぁ元々携帯用の短いお話なので勘弁してください。ちなみにポップンミュージック8のししゃもと16のサトウさんのアニメーションをイメージしてます。
 



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