†NOVEL†
「お前、名前は?」
「…オフィーリア」
ただの気紛れだった。
何となく行ったことのない場所に行ってみたかった、その日の気分。
魔女って言うくらいだから婆さんみたいな人がいるもんだと思ったら…こんなあどけなさの残る少女がいるなんてな。
何か調子狂った。
だっていつも退屈そうで、哀しそうで、淋しそうな顔してるんだぜ?まぁ、無理もない気はするがな…。俺様だったらそんな仕事即放棄したくなる。
「どのくらい此処にいるんだ?」
「…分からない。…忘れちゃった」
忘れる程長い間こんな閉鎖空間に?冗談じゃない。何でこんな女の子にそんな使命を…。
それからかな。何だか気掛かりになって暇がある時は顔見せに行く事にしたんだ。
それに…俺が行くと嬉しそうに、少しだけ微笑んでくれる顔が忘れられなくなった。
本当は毎日逢いに行きたいが、俺様もそんなに暇じゃない。こう見えて神様って忙しいんだぜ?
でも、ちょっと間が空きすぎたかな…ここは紳士らしくプレゼントでも持っていきますか。
「よっ、オフィ。」
「あ…神様…」
「今日はお前に友達、連れてきたぜ?」
「…友達?」
俺様が来ただけでそんなに嬉しそうな顔するなよ…。こっちまで嬉しくなるだろ?
「…友達なんて…要らない…」
「………へ?」
おいおい、それはないだろ?折角お前の為に用意したのに…見もしないで"要らない"だなんて…。
「こうして…神様が遊びに来てくれるなら……友達なんて要らないよ…」
「……オフィ」
嬉しいこと言ってくれるじゃないか。口数少ないお前が紡ぐ言の葉は、どんな綺麗な言葉よりも俺様の心に響く───
その時かな。こいつを此処から必ず助け出してやるって。何だか囚われの姫みたいな言い回しだが…俺的にはそれくらいの覚悟だった。
「友達が要らないなら…俺様からのちょっとしたプレゼントだ」
指をパチンと鳴らすと虹色に輝く蝶を出現させ、相手の髪に止まらせてからもっかい指を鳴らす…。
本当は蝶を置いていくつもりだったが…ま、いっか。髪飾りにした方が永遠の命ってもんだ。
「…わぁ……ありがとう…大切にするね……」
その柔らかい笑顔…俺様弱いんだよなぁ。それが見れたならこれからの荒波も越えていけそうだぜ。
こちらこそありがとうな、オフィーリア…。
これから暫く逢いに来れないかも知れないが…我慢してくれよな。
これを越えれば───
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つづくつづくつづけつづく!
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