†NOVEL†
「あんたは天使なんかじゃない」
「え…?」
突然の言葉にただ驚くことしか出来ないポエット。
ポエットが幻想郷に出入りするようになってある日のこと。
魔理沙の知り合いと言う事と、天使と言う肩書きも手伝って徐々に馴染み始めてきた矢先の出来事だった。
いつもの様に散歩をしていると、魔法の森の少し手前までやって来た。
そこは人気が無くなって鬱蒼としていた。
「あ、アリスちゃん」
「…ポエット」
そんな森の中から出てきたのは、ブロンドのショートヘアーが印象的な少女、アリス・マーガトロイド。
彼女とも知り合いなので、元気に挨拶を交わす。
アリスは目の前の天使を見ては罰の悪そうな表情を浮かべている。
「こんにちは。アリスちゃんはこれからお出掛け?」
「………」
アリスはポエットと接する時だけ何故か不機嫌そうになる。
それに気付いていたポエットは、何とか仲良くなってもらおうと一生懸命だった。
「ポエットもね、丁度お散歩してたんだ。もし良かったら途中まで一緒に行っても良いかな?」
「何で私が一緒に行かないとならないのよ。」
「あ、そうだよね…嫌、だよね…」
「当然。」
落ち込むポエットを余所にアリスは涼しい顔で言い放つ。
「ほ、本とか重たくないかな?ポエット少しだったら持てるよ?」
「余計なお世話。早くお散歩の続きでもしたら?」
「…そう、だね。またね?」
これ以上アリスに嫌われたくないポエットは、大人しく彼女の横を抜けて立ち去ろうとした。
「気付いてないのか知らないけど」
「…?」
少し行った所でアリスが口を開いたので振り返るも、少女の蒼い眼は前だけを見ていた。
「私はあんたが嫌いなのよ。これ以上付き纏わないでくれる?」
「ご、ごめんなさい…」
「幻想郷にももう来ないで。」
「………」
「あんたが人を幸せに出来るわけないのよ。私はあなたが天使なんて認めないから。」
「今はまだ見習いだけど、ちゃんと立派な天使になったらきっとアリスちゃんも幸せに…」
「あんたは天使なんかじゃない!」
「…!」
アリスに言い責められ今にも泣き出しそうなポエット。
自分の生きてきた全てを否定され、もう何も言えなくなってしまう。
「誰かを幸せにしたら誰かが犠牲になるのよ。」
アリスは振り返らないまま続けた。
「あなたは此処に来てから楽しそうだけど、私はちっとも楽しくない。自分だけが幸せを感じている天使に、他人の不幸が分からない天使に人を幸せにすることなんて出来る訳ないのよ。それはもう天使でも何でもない。悪魔よ。」
怒りを露にしながらアリスは言葉を突き刺した。
アリスは魔理沙に心惹かれている。
そんな時ポエットがやって来て、毎日魔理沙と楽しそうに話しているのを見て我慢の限界を迎えた。
私の方が長い間一緒にいたのに、私の方が仲が良かったのに…
そう思うと目の前の天使が憎く感じた。
「それじゃ、私はもう行くわ。」
思っていた事全てを言い終えれば、平然と歩き出すアリス。
ポエットの方を1度も見ることなく少女は姿を消した。
残されたポエットはただただ立ち尽くすだけだった。
*Fin
パルスィですね(何
アリスにはツンデレであって欲しいものです。
ここまで読んで頂きありがとうございました☆
2009,2,20 燐月 奈亞
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